偽りの彼女と真実の彼女

リードは自室に戻り、部屋の中の引き出しからリツが編みかけの刺繍を取り出しました

ーリード様、これを預かって欲しいんけどいいですか?ー

ーこれは?ー

ーまだ完成してないんですけど、リード様のハンカチにしたいのですけど、ちょうど糸を切らして明日街へと行きたいと思ってたんですー

ーそうか、楽しみにしておくよー

リード編みかけの刺繍を大切に包み、涙をこぼす


(リツ、信じきれなくてごめん。謝っても許されることじゃないけど叶うならもう一度あの頃の幸せの日々に戻りたい)


(リツ、そっちの世界で泣いていないか?寒くはないか?風邪は引いてないか?ハーツには色んな表情や仕草を教えてて僕は焼きもちやいたよ、けど、そんなリツも好きになったよ。リツ、僕は忘れないよ。)

リードは両頬を叩いて背筋を伸ばした

「リツの存在皆が忘れたとしても、僕やハーツや数少ない騎士が覚えているから安心して。リツが願っていた平和で幸せな国を僕は作る」


そう決心して、リードは夜遅くまで公務をしました

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