もっと愛したかった

出会いは小学生。私が、4年生の二学期から転校した先の隣のクラスに彼はいた。

元々、男子との仲が良かった私は、自然と彼とも仲良くなった。
小・中・高一環の学校だった私達、高校までおなじだった。
中学では、お互いに好きな子が出来て、お互いに協力しあって好きな子に告白したり、恋のキューピットになってあげたりもしてた。

高校1年の夏休み、いつもみたいに男子の中に女1人混じって5.6人で遊んでた。
みんな雑魚寝で、私は彼の隣で寝てた。
夜中、突然ギュッと抱きしめられた。

その時
何だか、違和感みたいなのが急に消えた気がした。


あ、私は彼の事 「好き」だったんだって…


「ねぇ、付き合って？」

私から言った。

「ん？どこに？」

わざとこんな風に返す彼。

「じゃなくてさ！」

「いいよ。」

いつか、こーなる事はわかってたのかも知れない。

お互いに。

大好きだった。本当に大好きだった。

だけど、相変わらず私は他の男子とも遊びに行ったりしてた。

時には、彼に嘘をついたりもした。
そんな彼は、やっぱり嘘がきっかけで私に別れを告げてきた。

まだ16歳。
本当の愛になんて気付けなかった。

泣いても泣いても、いくら縋ってもダメだった。
泣いて泣いて泣いて。
涙ってこんなに出るんだ……って思う程に。


それから私は、あまり学校へ行かなくなった。

彼に会いたくなかったから。


他の子と、付き合ってみたりした。
だけど、いつも本気になんてならなかった。
だって、彼ほど心揺さぶられる様な人なんていなかったから……

ある時、携帯が鳴った。

彼だった。

でも、その時に一緒にいた彼氏が電話に出て

彼は「あ、そーゆう事？ごめん、じゃぁいいや！」って…電話を切られた。

何だか、自分が嫌になった。
汚らわしく思えた。
私からは折り返す事はしなかった。

すぐにその時の彼氏とも別れた。

結局、私はフラフラしてて好きでもない男と付き合っては別れの繰り返し。

高校2年の三学期。

留年が決まった時、高校を辞めた。

もぅ、彼には会う事はない。
だけどまた、いつか彼と一緒になりたいと言う想いは持ち続けてた。
唯一の女の子の親友にも、それは話してた。
だけど、願いも虚しくただただ過ぎて行く日々。

風の便りで、彼も高校を卒業して美容の専門学校へ行くって話しは知ってた。


私はというと、高校を中退した私は絵に書いたような日々だった。
恐らく、一通りの悪さはしたと思う。
もぅ、人としても終わってた。
体重も、36キロ位しかなかった。

親に泣かれた。


その時に初めて、何してんだ私。

悪さはやめた。


だけど
水商売をして、あいも変わらずフラフラしてた。


18歳。夏。
小学生からの友達が交通事故で死んだ…
お葬式に呼ばれた私。
友達と行った。
綺麗な顔してる。だけど、その友達は棺の中にいて不思議な気持ちだった。

葬儀の帰り道……

別の友達と一緒に居たのは

「彼」だった。

1年半ぶり位に会った彼は、見た目こそ今時って感じだったけど、私の大好きな彼だった。
みんなが久しぶりに会ったから、それぞれに話しが弾んで
そのまま、地元の公園で夜中まで話してた。
彼の携帯は変わってなくて、その日を境にまたみんなで遊ぶ様になった。

嬉しかった。

ただ、彼が近くにいるだけで幸せだった。

普通に連絡くれる彼。

普通に友達として、遊んでた。

私の気持ちなんて、どーでも良かった。
彼が近くにいる。

この状態だけで幸せだった。


ある時、皆に連絡したけど遊べるのは彼しかいなかった。

2人であって、他愛もないことをはなしたり、ご飯食べたり。

その後、私の家に遊びに来てくれた。

途切れない会話。


そっと近付く私たち。




そっと、寄添い抱き合った。


涙が溢れ出す。

そっと、指で涙を拭う彼。


私たちは、また恋をした。