暗闇に光が差す日
「…おーい」
晴樹の声で我に返った僕は、辺りを見渡した。晴樹は、心配そうな顔で僕を見ている。
「兄ちゃん、大丈夫なの?」
「え、あ…大丈夫だよ!」
僕と晴樹は、家にいる。僕は、晴樹に引かれて家まで来たようだ。
「何か、兄ちゃんの様子がおかしかったから…家まで走って帰って来たんだけど…」
「ごめん。心配かけた?」
「かけてないよ。でも、嫌な子だね…幸斗くん?だっけ」
「そうだよ」
ニャー、と近くで飼い猫のシオンが鳴いた。その鳴き声に反応した晴樹は、シオンに近寄る。
晴樹は、動物(特に猫)が好きだ。
「シオン、可愛いよね!」
シオンを抱き上げた晴樹は、僕に優しい笑顔を見せた。
「そうだね」と少し興味なさげに返すと、「あ、興味ないでしょ!」と晴樹が言う。
シオンは白猫だ。理由は分からないが、シオンと名付けられたらしい。
「うん。興味ないよ」