君に癒されたい!君を癒したい!―君の過去何かどうでもいいんだ!
7.突然のプロポーズ
3日の朝、目が覚めると、抱いていた凜を起こしてまた愛し合った。それからまた眠って、目が覚めたらもうお昼前だった。
「散歩しないか?」
「そうね、原宿の街でも歩いてみましょうか」
「人出が多いかもしれないけど、雑踏の中を二人で歩くのもいいんじゃないか」
「腕を組んで?」
「いや、手を繋いで」
「じゃあ簡単なお昼を作ります。オムライスお好きでしたね」
「ああ、大好きだ、作ってくれる?」
「二人分作ります」
凜は身支度を整えるとすぐにキッチンに立って料理を始めた。出来上がったオムライスを口に頬張ると前に食べた時と同じ味がする。おいしい。
食べ終えると二人で出かける。凜はメガネをかけなかった。僕はこのままどこかで別れて帰ろうと思っている。
原宿の正月の雑踏の中を二人でそれを楽しむようにゆっくり歩いて行く。凜は始め腕を組んできたが、雑踏の中では手を繋いだ方が歩きやすいと分かったようで、手を繋いで歩く。
若いカップルが同じように手を繋いで雑踏の中を歩くのを楽しんでいる。こうして人混みの中にいると、大都会の中で生きているという実感が湧いてくる。
凜は店のウインドウを横目で見ながら、気に入った店があると近づいてウインドウの中を覗いたり、店の中に入ったりしている。僕はそれを見守りながら戻ってくるのを入口で待っている。
原宿駅近くの店から凜が出てきたところで、男が話しかけている。30半ばくらいか? 男の後ろから近寄る。凜がこちらを見る。怯えているような顔をしている。
「ねえ、亜里沙じゃないか? 俺のこと覚えていないの?」
「知りません。人違いです」
「いや、君は亜里沙だ、髪を短くしているけど間違いない」
「どうかしたの?」
「この人が」
「君は誰ですか、僕の家内に何か用ですか?」
「昔のなじみの女の子に似ているから声をかけました」
「怯えているじゃないか、失礼だろう」
「申し訳ありません。悪気があった訳ではありません。失礼しました」
男は恥ずかしそうにしてすぐにその場を離れて行った。
「大丈夫かい。悪かったね、街中へ誘っていやな思いをさせてしまったね」
「いえ、それよりもあなたの方がいやな思いをされたのではないですか」
「前にも言っただろう、そういうことは百も承知している。気にしていない」
凜が急に抱きついて来た。雑踏の中でも人目に付く。皆、僕たちを見ながら通り過ぎてゆく。
凜に抱きつかれるのは悪い気がしないし、人に見られるのも気にならない。正月からいい気分になっている。凜を抱き締めているが、原宿では見慣れた風景だろう。
「あの男の顔、覚えていたの?」
「覚えていないの、でも亜里沙と言っていたから」
「覚えていないなら、なおさら知らんぷりしていればいい。怯えていないで、もっと強くならないと、でもこれからも僕が守る」
「家内って言ってくれてありがとう。嘘でも嬉しいわ」
「本当に家内になってほしいと思っているからそう言っただけだ」
「ええっ」
「僕の妻になってほしいと思っている」
「それはできません。付き合っているだけで十分です」
「付き合っていても、また急にいなくなってしまうのではないかと心配なんだ。もう二度と君を失いたくない」
「結婚を考えてみてくれないか。君と僕は年が離れているし、娘もいる。すぐに返事してくれなくてもいい。よく考えてからでいいから、待っている」
「ありがとうございます。身に余る申し出ですが、しばらく考えさせてください」
「分かった。このまま、ここで分かれるのもなんだから、店まで送ろう」
凜の手を引いて歩き出す。凜はうつむきながらついて来る。店の前で別れる時、また抱きついて来た。いつかはこうなるとは思っていたが、行き掛かりで凛にプロポ―ズをした。これで良かったと思っている。
「散歩しないか?」
「そうね、原宿の街でも歩いてみましょうか」
「人出が多いかもしれないけど、雑踏の中を二人で歩くのもいいんじゃないか」
「腕を組んで?」
「いや、手を繋いで」
「じゃあ簡単なお昼を作ります。オムライスお好きでしたね」
「ああ、大好きだ、作ってくれる?」
「二人分作ります」
凜は身支度を整えるとすぐにキッチンに立って料理を始めた。出来上がったオムライスを口に頬張ると前に食べた時と同じ味がする。おいしい。
食べ終えると二人で出かける。凜はメガネをかけなかった。僕はこのままどこかで別れて帰ろうと思っている。
原宿の正月の雑踏の中を二人でそれを楽しむようにゆっくり歩いて行く。凜は始め腕を組んできたが、雑踏の中では手を繋いだ方が歩きやすいと分かったようで、手を繋いで歩く。
若いカップルが同じように手を繋いで雑踏の中を歩くのを楽しんでいる。こうして人混みの中にいると、大都会の中で生きているという実感が湧いてくる。
凜は店のウインドウを横目で見ながら、気に入った店があると近づいてウインドウの中を覗いたり、店の中に入ったりしている。僕はそれを見守りながら戻ってくるのを入口で待っている。
原宿駅近くの店から凜が出てきたところで、男が話しかけている。30半ばくらいか? 男の後ろから近寄る。凜がこちらを見る。怯えているような顔をしている。
「ねえ、亜里沙じゃないか? 俺のこと覚えていないの?」
「知りません。人違いです」
「いや、君は亜里沙だ、髪を短くしているけど間違いない」
「どうかしたの?」
「この人が」
「君は誰ですか、僕の家内に何か用ですか?」
「昔のなじみの女の子に似ているから声をかけました」
「怯えているじゃないか、失礼だろう」
「申し訳ありません。悪気があった訳ではありません。失礼しました」
男は恥ずかしそうにしてすぐにその場を離れて行った。
「大丈夫かい。悪かったね、街中へ誘っていやな思いをさせてしまったね」
「いえ、それよりもあなたの方がいやな思いをされたのではないですか」
「前にも言っただろう、そういうことは百も承知している。気にしていない」
凜が急に抱きついて来た。雑踏の中でも人目に付く。皆、僕たちを見ながら通り過ぎてゆく。
凜に抱きつかれるのは悪い気がしないし、人に見られるのも気にならない。正月からいい気分になっている。凜を抱き締めているが、原宿では見慣れた風景だろう。
「あの男の顔、覚えていたの?」
「覚えていないの、でも亜里沙と言っていたから」
「覚えていないなら、なおさら知らんぷりしていればいい。怯えていないで、もっと強くならないと、でもこれからも僕が守る」
「家内って言ってくれてありがとう。嘘でも嬉しいわ」
「本当に家内になってほしいと思っているからそう言っただけだ」
「ええっ」
「僕の妻になってほしいと思っている」
「それはできません。付き合っているだけで十分です」
「付き合っていても、また急にいなくなってしまうのではないかと心配なんだ。もう二度と君を失いたくない」
「結婚を考えてみてくれないか。君と僕は年が離れているし、娘もいる。すぐに返事してくれなくてもいい。よく考えてからでいいから、待っている」
「ありがとうございます。身に余る申し出ですが、しばらく考えさせてください」
「分かった。このまま、ここで分かれるのもなんだから、店まで送ろう」
凜の手を引いて歩き出す。凜はうつむきながらついて来る。店の前で別れる時、また抱きついて来た。いつかはこうなるとは思っていたが、行き掛かりで凛にプロポ―ズをした。これで良かったと思っている。