兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
兄とキスをした夜
(カナメ)side】

「お兄ちゃん、お風呂あいたよ」



あいつは、半袖のTシャツに短パン。
濡れた髪をタオルでふきながら出てきた。



美衣(ミイ)、風呂長すぎだろ……
どこ洗ってんだよ」



俺の家の洗面台は、リビングの隣にある脱衣所の中にしかない。

妹が風呂に入っていると、歯みがきすらできない。

俺はソファーに寄りかかって、ため息をついた。



「……女の子は、いろいろ時間がかかるの」



タオルを首にかけ、長い黒髪をおろしたあいつは唇をとがらせる。

大きな瞳をまっすぐ俺に向けて、生意気な口をきくのは幼い頃と変わらないが、あいつはもう16歳になっていた。
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