兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
なんとなく100均ショップの前で足を止めた。



一番目立つところに、カラフルなクリスマス飾りが置いてある。



私にとって、クリスマスは幸せの象徴みたいなもので、それに取り残されている自分が悲しかった。



買うつもりはないけれど、私は小さなクリスマスリースを手に取った。



「美衣……それ、ほしいのか?」



背後から遠慮がちにかけられた声に、振り返る。



私の後ろには、要が立っていた。



「要……」



もう要は私のお兄ちゃんじゃないのに、要の顔を見ると『お兄ちゃん』と呼んでしまいそうな自分がいた。
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