兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
何の会話もなく、みんな同じテーブルについてご飯を食べている。



食器を置く音や、箸を動かす音だけが響いていた。



「ただいまー。
今日はノー残業デーだから、みんなが好きなドーナツ買ってきたぞ」



何も知らないお父さんが、眼鏡にスーツ姿で陽気に帰ってきた。



リビングに入って異様な空気に気づいたのか、お父さんは私たち三人を交互に見比べていた。



「おい、どうしたんだ……?
また要と美衣がケンカしたのか?

二人とも小さい頃から、よくケンカしてたもんなぁ。
ケンカするほど仲がいいって言うもんだ……なぁ、母さん」



お父さんは明るく言ったけど、お母さんは何も答えなかった。



「おいおい、母さんまでどうしちゃったんだよ……」
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