兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「そうそう、お父さんにはまだ言ってなかったけど……
お兄ちゃん、東京の大学受験するって」



お母さんの言葉に、私は箸を止めた。



「要は、地元の大学目指してたんじゃなかったのか?」



「それが、最近お兄ちゃん勉強頑張ってるじゃない?
この前の模試で、結構成績よかったのよ。

この調子なら、東京の難関大学も狙えそうだって……」



「すごいな、要。
要は、昔からやればできる子だからな」



「そうなのよね。
やる気がないと、やらないだけでね……」



お父さんとお母さんは笑い合ってたけど、私は笑うことができなかった。



お兄ちゃんが、遠くへ行ってしまう。



「ごちそうさまでした……」



私は、箸を置いた。



「美衣、もういいの?」



「うん、もうお腹いっぱい」



私はリビングを離れて、自分の部屋に戻った。
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