兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「お母さん、ありがとう!
こういうの欲しかったんだ」



私の明るい声に、キッチンに立っていたお母さんは手を止めて振り返った。



「あら……それ、どうしたの?
お母さん、知らないわよ。お父さんかしら?」



今日は日曜日で、お父さんはリビングに座ってテレビを観ていた。



「お父さん、これ美衣に買ってきたの?」



お父さんは、コーヒーカップを手に持ったまま振り返る。



「いや、父さんじゃないよ……」



サンタさんの正体がお父さんでもお母さんでもないとしたら、私の枕元にプレゼントを置ける人間は、あと一人しかいない。
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