兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「要は、どれにするの?」



やっぱり、どのメニューも値段が高かった。



俺は、一番安いトンカツを指差した。



「俺、これでいいよ……」



「今日は、遠慮しないでって言ったでしょ?
もっと、しっかり食べなさい」



結局俺は、母親と同じメニューを注文した。



「要も、ずいぶんお兄さんらしくなったわね」



「そうか……?」



俺は、最後まであいつの兄を演じきることができなかった。



首をかしげた俺に、母親は微笑んだ。
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