兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
真実の愛
【美衣side】

もうすぐ、お兄ちゃんは東京に行ってしまう。



玄関には、お兄ちゃんが新居に持っていく荷物をつめたダンボールが山積みにされていた。



春休み中の私は、特にすることもなくて、リビングのソファーに座って携帯をいじっていた。



今日は日曜日なのに、お母さんは朝からソワソワしている。



珍しくスカートをはいて、よそいきのハンドバッグを肩にかけて階段を下りてきた。



「美衣、今日お父さんお休みだし、ちょっと二人で出かけてくるわね」



「私は……?」



「美衣は、お留守番してて……
今日は、お父さんと二人でデートだから」



お父さんとお母さんって、そんなに仲良かったっけ……?



確か、前はお父さんと二人でいてもつまらないからって、日曜日もパートに出ていた気がする。



それでも、お母さんが楽しそうに準備しているから、私は笑顔で答えた。



「わかった……
お父さんと楽しんできてね」
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