兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「お兄ちゃん、もう出ようよ」



気まずくなった私は、お兄ちゃんの袖をつかんだ。



「まだ時間あるし、ゆっくり見ようぜ。
美衣は、どれがいい?」



「どれがいいって言われても……」



どのアクセサリーを見ても、『Forever』とか『I love you』とか刻まれている。



離れ離れになるお兄ちゃんと、おそろいのものが欲しい。



だけど、兄妹で身につけるにはふさわしくないと思った。



「わかんないよ……」



うつむいてショーケースを眺める私に、お店の人が微笑みかけた。



「何かお探しですか?」



「いえ……」



断わろうとした私を遮って、お兄ちゃんは口を開いた。



「ペアで身につけられるものを……」



私は驚いて、お兄ちゃんを見上げた。
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