兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「……えっ?私、何も言ってないよ」



焦って絵梨花を見上げた私に、絵梨花は耳元でささやいた。



「美衣、頑張って!」



「桐ケ谷、話って何?」



「あ、あの……昨日のことなんだけどさ……」



ちゃんと目を見て話さなきゃいけないのに、新倉君の前に立ってるだけで顔が赤くなりそうだ。



「ちょっと出よっか?」



「うん」



教室の中で、これ以上変な話はできない。



私はうなずいて、新倉君と廊下に出た。
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