兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「ライオンの赤ちゃん、今日から公開されるんだって」



「うん、すごい楽しみ」



この動物園に来るのは、小学生の時家族で来て以来だ。



まさか新倉君とデートで来ることになるなんて思ってなかった。



子どもの時に感じたワクワク感だけじゃなくて、新倉君に手をつながれた私はすごく緊張していた。



「桐ケ谷のこと、美衣って呼んでもいい?」



「うん、いいよ……」



クラスの男子に、下の名前で呼ばれたことなんてない。



私は、少しためらいながらうなずいた。
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