兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「誠也のお母さんは、幸せだったと思う。

誠也の笑顔見てたら、お母さんに愛されてたのよくわかる。

誠也もお母さんのために頑張ってたの、すごいわかる」



誠也は何も答えずに、悲しげな瞳を私に向けていた。



「私は、パパとママに何もしてあげられなかった。

私のこと愛してくれていたはずなのに、何も返してあげられなかった。

私はもう、パパとママの顔も思い出せなくなっちゃった……」



私の目からポロポロ涙がこぼれ落ちる。



誠也は、私を胸に抱きしめた。
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