兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
暗い夜道を、誠也と手をつないで歩いていく。



知らない人が見たら制服デートの帰りに見えるかもしれないけど、本当はそうじゃない。



私たちは何も話さずに、しっかり手をつないで歩いていた。



「美衣は、お兄さんとも血がつながってないの?」



誠也は、どうしてそんなことを聞くんだろう。



別に、今更隠すことじゃない。



私は、正直に答えた。



「そうだよ。要(カナメ)は、今のお父さんとお母さんの子どもなの」



この時はなぜか、お兄ちゃんのことを要と呼んでしまった。
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