兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「だけど、このことはお兄ちゃんには言わないで……

みんな、私は実のパパとママのこと覚えてないと思ってるから。

私がこんなこと言ったら、本当の娘として育ててくれたお父さんとお母さんに申し訳ないし……

私は、みんなと本当の家族でいられなくなる」



こんなことは、誠也にしか話したことがない。



お兄ちゃんにだって、言ったことはなかった。



このことを自分で口にしたら、また涙がこぼれそうになった。



「わかったよ。美衣、話してくれてありがとう」



誠也の優しさが胸にしみる。



私はつながれた手をギュッと握った。
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