兄の溺愛がマジでウザいんですけど……《完》
「ねぇ、お兄ちゃん。

私が小さい時は、同じベッドで絵本読んでくれたよね。

お化けの話聞いて眠れない時は、一緒に手つないで寝てくれたよね。

お兄ちゃん……こっち来てよ」



「お前……今いくつだと思ってんだよ。
そんなガキじゃねぇだろ」



あいつは、それ以上何も言わなくなった。



二人とも静かになった薄暗い部屋の中で、俺はまだ目を開けていた。



美衣は、眠ってしまったのだろうか。



あいつの気配を感じながら背を向けていると、ベッドからすすり泣く声が聞こえてきた。



「お兄ちゃんは、ずっと私のお兄ちゃんだよね……
ずっと……私のお兄ちゃんでしょ?」



床から起き上がって振り返ると、美衣は布団にもぐって泣いていた。
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