にじいろしぐれ
あたりが突然明るくなり今は冬だというのに一面に桜が咲いている
明るさの正体は桜の木のそばで燃えている狐火だった
「桜...ピンク色だ...」
先程まで色を移していなかった私の目がちゃんと桜の色を捉えている
「狐火は水色...」
涙でぐわんと視界が歪む
「うっ...うっ...」
私の目からはとめどなく涙が零れた
「晴、どう?俺からのプレゼントは」
ゆっくり綺月さんの方に振り返る
「っ!?」
き、綺麗...
身にまとっているものも顔たちも体型もすべてが息を呑むほどに美しかった
「ふふ、どうしたの?そんなに見つめられると照れるんだけど。」
「え、あっ...ご、ごめんなさい」
「ふふ、別にいいんだけどね?それより俺からのプレゼント、喜んでもらえたかな?」
「はい、すっごく綺麗です。」
「それはよかった。」
彼はふふ、っと微笑んで好きなだけ見ていいよと言ってくれた
私はお言葉に甘えて桜の近くまで行ってみたり散っていく花びらを追いかけたりしていた
「ふふ、綺麗だなぁ」
そういえば昔は毎年家族でお花見に行ってたっけ...
私はひらひらと舞う花びらを見ながら思い出に浸っていた