雪と月と太陽



…2年前の高1の冬、部活が終わって学校を出たときに、学校前のバス停にいる彼女を見た。降ってくる雪を目を細めて嬉しそうに見る美月を。
もともと声をかける気なんてなかった。
でも、冬の夜空を見上げる彼女が、綺麗で儚くて。
気づいたら、彼女の腕を掴んでた。

「……雪は好きですか?」なんて謎の質問を彼女に放って。

もちろん、彼女は俺のことが怖かっただろう。だっていきなり腕を掴んできて謎の質問してくるんだから。
でも、

「……雪の結晶ひとつひとつに名前をつけたいくらい好き」

と返してくれた。
俺は、なんて不思議な子なんだろうと思ったと同時に、こんな素敵な人にはじめて出会ったと思った。今の時代、スマホに必死で皆空なんて見ない。それなのに、彼女は空を見上げ、雪が好きと言う。
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