青藍─Seiran─
好きな人いないし、今年はいいや。友チョコだ。
いつも通り感情を盗み見ることに引け目を感じながら彼女を見送ると、今日の閉店業務に取り掛かった。
「一君、ちょっといい?」
店内奥でノートにペンを走らせていると近付いてきたのは店長で、店長は自分より10歳離れた女性で、深く付き合い過ぎずあっさりした関係を築けている。
「一君って、彼女いるの?」
「……そういうこと尋ねられるの、珍しいですね」