青藍─Seiran─





 しかし、そう油断して食事を終えた後だった。

 鮎原さんはここまで車で来たらしく、それじゃあと駐車場で別れようと背を向けた時、再びツンツン背中を叩かれ振り返ると、鮎原さんの両手が俺の右腕をギュウッと強めに握りしめた。

「一君今日はありがとう」

 ──好き、好き。私のこと好きになっちゃえばいいのに。

「……こっちこそ」



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