青藍─Seiran─





 額の汗を拭いながらアハハと笑う鎌堂君と、私は今日映画を見る約束をしていて、このままのペースじゃ時間ギリギリだ。

「驛ちゃん、急ごうか」

「うん、そうだね」

 言って小走りになろうとした時に、スッと右手を握られ、鎌堂君を見上げると口元が若干緩んでいる。

「好きな子と手を繋ぐ瞬間って、良いよな」

「……まぁ」

 鎌堂君の掌はあったかくて、大きくて、ゴツゴツしていた。




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