青藍─Seiran─




 言った途端、目を丸くした鮎原さんが口開き、その言葉に今度は俺が目を丸くした。

 “一君は上手くいかないよ”

「一君は奥手だし、アピールも下手そうだし、私の方が合ってるよ」

「……俺は、その人のことが好きだから、鮎原さんのことは好きになれない」

「上手くいかなくても?」

「俺は、その人に好きになってもらえるように、これから頑張ってみようかなって……ちょっと、考えてる」 

 驛さんが自分の名前を出さなかったから、自分も彼女の名前を告げることなく、もう一口水を飲む。



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