青藍─Seiran─




 驛さんの方の事情もあるだろうし、と彼女の名前を出さないまま話を終えて鮎原さんと別れると、俺は寄り道することなく再びバスに乗って最寄りのAデパート前のバス停で車内を降りた。

 そしたら偶然、デパートを出てきたらしい驛さんが、横断歩道を渡って駐車場に行こうとするものだから、気付けば俺はそれを追いかけていた。

「驛さん」

 呼んで振り返った驛さんは、俺を見据えた後にソロッと目線を下げる。



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