青藍─Seiran─




 一君から予定を聞かれた際に、嘘をついて断ってから一週間が経ち、私達は順調に顔を合わせていなかった。どう考えてもずっとこのまま一君を避けてばかりじゃいられないけれど、今はこうするしか……。

 しかし、本日夕方仕事を終えて楽器店を出て歩いていると、北欧雑貨のお店の中にいた一君を見かけて、素知らぬ顔をして通り過ぎようかしていたものの、ふいにこちらを見た一君と目が合ってしまった。

 一君、私に気が付いてるよね? 見てるよね?

 どうしようとヒヤヒヤしていると、やはり気付いていたらしい一君が軽く手を振ってきたため、私も必死に笑顔で振り返す。



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