青藍─Seiran─




 幼稚園の頃、生徒にも先生にも怖い物扱いをされ、自分も人が怖くなってしまった。俺は変なんだ。変だから、黙っていなきゃいけない。感情を見せちゃいけない。

 何でもないフリをして、普通の人間だと思われなくちゃいけない。

 これは“個性”なんて響きの良い力じゃないのは自分が一番分かっていて、俺は普通を装うのに精いっぱいだったのに、見えないくらい少しずつ芽生えていた気持ちを驛さんに伝えて、すぐに撃沈した。

 これはもう仕方がないし、自分のせいなのに、驛さんのことを諦めていても、図々しくも好きな気持ちが簡単に消えることはなかった。



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