青藍─Seiran─
『エピローグ 未来』




~驛仁菜~

 八月、お盆を少し過ぎた頃に初めて二連休が重なり、私は一君と隣の県に旅行に来ていた。

 全国的に見たら小規模でも、この辺りでは有名な温泉地で、昼過ぎに街にやってきて足湯や食べ歩きをした後、本日泊まる旅館を訪れた。

 受付でチェックインを済ませた後、奥に並べられた数種類の浴衣を前に、心がウキウキする。

「すごい、一君、浴衣だよ」

「男の方も選べるんだね」



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