青藍─Seiran─



「今日、冷えるもんね。綺麗」

「……うん、綺麗」

 一言だけ言うと、一君は空を見上げて白い息を吐く。

 イブの日に、関わりのなかった一君と一緒にいることが、私は不思議だった。

「驛さん……だったっけ」

「はい、驛です」

 私が一君に対する記憶がないように、また一君も私のことを知らなかったような口ぶりをする。


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