青藍─Seiran─
会計を終えて二人並んでデパート内を歩きながら、私は初めて一君の過去について触れた。
「友達……とか、彼女は」
「女友達はいないし、彼女もいなかった……この歳にもなって、恥ずかしい話だよね」
「ううん、そんなことはないけれど……カッコ良いから、意外だったから」
「お世辞で褒めなくてもいいよ」
ほんの小さく笑顔を見せる一君に、お世辞じゃないことを言って、私達は再びデパートの入り口に戻って来た。