グッバイ・リトル
……ブーブー。
朝。枕元に置いてあるスマホが短く振動する。
低血圧の俺だけどいつの間にかこの時間に鳴るスマホがモーニングコールの代わりになっていて、毎朝あいつからのメールを確認するのが日課になってしまった。
【セナちゃん、おはよう。今日もいい天気だね!】
――汐原アユム。
名前は男みたいだけど、いつもメールの文章と一緒に必ずなにかしらの写真を送ってくる女の子。
今日は雲の形が可愛いと空の写真だった。
そう、あいつは昔から可愛いものが好き。
天真爛漫で人懐っこい性格をしてるけど、大きいものが苦手で同級生の男とは距離を置いていた。
声が大きい、態度が大きい。身体が大きい。
そういう理由で普段から女の子とばかり一緒にいたけど、俺だけは例外だった。