グッバイ・リトル
「……痛っ」
布団から這い出た俺は寝ぼけまなこのまま1階へと下りる。そしてリビングのドアを開けた瞬間に、ゴンッと上の金具に頭をぶつけた。
なんでうちの構造はいちいち低いんだろう。
……いや、違う。俺が単純に……。
「ちょっと、邪魔なんだけど」
まるで俺のことを壁みたいに扱ってくる社会人の姉と。
「ねえ、セナ。昨日のご飯も余ってるんだけど、お茶碗三杯くらい食べられるわよね?」
残飯処理を押し付けてくる母と。
「にーに。みいのピンクのキラキラしらない?」
ハサミの使い方を覚えて折り紙ばかり切りまくってる5才の妹。
……はあ。俺はため息をつきながらリビングの椅子へと座り、テーブルの下に収まらない足をもて余して白米を口の中に詰め込んだ。