グッバイ・リトル
【セナちゃん、私がどこにいるか分かる?】
再び届いたアユムからのメールには、また写真が貼り付けられていた。
それを見た瞬間に、ドキッと心臓が跳ねる。
送られてきた写真には、地元の駅舎が写っていた。
……え、は?
俺は一気に動揺する。
【実は私、今日この町に帰ってきてるの】
ドクン、ドクンと心臓がうるさい。
帰ってきてる?
ってか、アユムが今、駅にいる?
【なんで?】
こんな時、メールは楽だ。俺がどんなに焦ってるかなんて、文面ではまったく分からない。
【セナちゃんのおばさんから聞いてない?私、また転勤でこの町に戻ってくることになったんだよ】
まじかよ。そんなの聞いてない。
いや、さっき母さんが言おうとしてた予兆はあったかもしれない。
でも、それにしたって急すぎないか?
【ねえ、セナちゃん。会いたい。少しだけ話せない?】
ふざけんな。
俺がどんな気持ちでメールだけをしていたか知らないくせに。
どうせ、まだ可愛いままの俺でいると思ってるんだろ?
だから、苦手な男の俺と何年も連絡を取り合ってたんだろ?
俺は会いたくない。
ビックリされて、今までどおりの関係でいられなくなるのなら、二度と会えなくたっていい。