サイレント サイレン
段々『ゆぅか』と志乃が同一人物である事が信じられなくなってきた。
いや、『ゆぅか』の悩ましい姿の写メに写る背景は紛れも無く俺んち。
だから間違いはないけど
【ゆぅか=志乃】が感覚的に成り立たなくなってきていた。
俺が啓吾として現実に接する志乃と
『さとし』として電波上で接する『ゆぅか』は
あまりにも違いすぎた。
俺自身、『さとし』という架空の人物でいる事が何となく居心地いい。
ブログという文字の世界。
その中にある『落とし穴』をこの時、俺は知らなかった。
『ゆぅか』も
志乃も
啓吾、ではなく
『さとし』目線で客観的に見るようになっていた俺は
離婚とかどうでもよく、ただ面倒だった。