俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
食事を終え、後片付けを申し出たが、作業を進めて明日の業務に響かないようにしろ、と言われてしまった。

なんとか必要最低限な身の回りの物の収納が終了し、その報告をすると、次は先に入浴するように促された。

私よりも多忙な毎日を過ごしている夫に申し訳なかったが、疲れていたせいもあり、厚意に甘えさせてもらった。


バスルームも想像以上に豪奢だった。

広い洗面スペースは真っ白で浴室の浴槽もずいぶんな広さがあった。

まるでどこかの高級ホテルのようだ。


私、今日からここで暮らすんだ。


現実を今さらながら実感し、気持ちが落ち着かず豪華さを堪能する余裕がなかった。

しかもこの後に采斗さんが入浴するのだと思うと気が急いてしまう。


「もう上がったのか?」

キッチンに水を飲みに来た私を見て、革張りのソファに座っていた彼が驚いたように瞬きをした。


「う、うん。先に入らせてくれてありがとう」

「ちゃんと温まったか?」

「大丈夫」

タオルで簡単に髪を拭いていると、采斗さんが冷蔵庫の前にいる私に近づいてきた。


「あの、シャンプーを借りてしまって……」

「俺と同じ匂いだな」

彼がクンと私の髪に鼻を近づける。

その近い距離に鼓動が暴れ出す。


「えっと、明日にでもきちんと買ってくるね」

「髪質に合わなかった?」

「え? ううん」

「だったらそのまま使えばいい。お前が俺と同じ香りを纏うのは嬉しい」

何気なく返されたひと言に、ひゅっと息を呑んだ。
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