俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「今日からは具体的に新商品について話し合いましょう」

パテーションで区切られた広めのスペースに凛とした女性の声が響く。


幅の広い机にメンバー同士が向かい合って座っている。

その中心で指揮をとっているのは如月さんだ。

午前中からプロジェクトメンバーによる話し合いが始まっていた。


「皆が出してくれた案はそれぞれ面白いと思うわ。でもどこか新鮮味とインパクトに欠けるのよ」

「確かにカフェインレスの飲み物は他社も取り入れてきますよね」

配布された資料に視線を落としながら、メンバーのひとりが言う。


「カフェインレスとカロリーオフだけでは新鮮味もありませんし」

もうひとりの女性社員が呟く声に皆が賛同する。


「カロリーオフをしすぎると甘味が問題よね」

「親しみがある飲料で、かつ万人受けするもの……」

「それはいつも考えるテーマでしょう。道木さんはどう思う?」

メンバーが意見を交換している中、如月さんが私に問いかける。


「道木さんが企画に上げたレモンティーは面白いと思ったわ。でもこれは以前『ティアラ』シリーズで以前取り扱ったものに酷似していないかしら? 海外産のレモンを使用していたものを国内産に切り替えただけに思えるわ」

「『ティアラ』シリーズで販売していたものは、甘さが抑えられていたと思います。今回は逆にもう少し甘みを強めたいんです」

鋭い視線にひるみそうになりながらも、意見を述べる。
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