俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
今の私にはそんな能力はない。

自分の考えの浅さが情けなくなる。

だけどこの人と仕事をするのは本当に勉強になるし、ワクワクする。


「すみません。もう少し考え直します」

「そうね」

慰めやフォローは一切ない。

そんな私の様子を同じチームのメンバーが心配そうに見守っている。


「ほかに案はない?」

切り替えの早いチーフは、すでにほかの議題に目を通し始めていた。


しばらくして議論が終了し、会議は終わりを迎えていた。

結局、来週もう一度それぞれの案を考え直して持ち寄る運びとなった。


今回のプロジェクトは私のものも含め幾つかの企画が採用されている。

如月さんが誰かの案をひとつ選ぶよりも、面白みのある企画を融合してひとつの商品づくりをしたいと上層部に強く掛け合ったらしい。


『上層部にそういう意見を遠慮なく言えるのが如月さんのすごいところよ。そしてそれが採用されるのが信頼の表れよね』


親友が何気なく話していた噂話をふと思い出す。


「――じゃあ、今日はここまでね。お疲れ様」

そう言って席を立った如月さんはパテーションの向こう側に姿を消した。

その瞬間、聞こえてきたのは驚きの声だった。
< 114 / 221 >

この作品をシェア

pagetop