俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「副社長! いつからそこにいらっしゃったんですか?」
「ついさっきから」
副社長?
「立ち聞きですか?」
「失礼だな。皆が真剣な話し合いをしていたから邪魔をしないようにしていただけだ」
姿の見えないふたりの、気安い会話に残っていたメンバーがざわめく。
「副社長がいらっしゃってたのか?」
「あの副社長に“立ち聞き”だなんて、さすがは如月さんよね」
「やっぱりあの噂は本当なのかな」
「噂って?」
「やだ、知らないの? ほら副社長と如月さんが……」
「皆、静かに。早く持ち場に戻りなさい」
メンバーの雑談を止めるように、パンパンッと手を叩く音が響く。
声の主はこのプロジェクトで如月さんの右腕となっている廣田さんだった。
雛乃と同じ企画課に所属している、三十歳の女性社員だ。
副社長と如月さんの噂、それは真理子ちゃんから聞いたものと同じだろうか。
皆が当たり前のように噂を知っている事実に、胸が軋む。
私には関係ない。
それよりも今はこの企画を仕上げるほうが大事なのだから。
「道木さん」
総務課に戻るため立ち上がると、廣田さんに声をかけられた。
「ついさっきから」
副社長?
「立ち聞きですか?」
「失礼だな。皆が真剣な話し合いをしていたから邪魔をしないようにしていただけだ」
姿の見えないふたりの、気安い会話に残っていたメンバーがざわめく。
「副社長がいらっしゃってたのか?」
「あの副社長に“立ち聞き”だなんて、さすがは如月さんよね」
「やっぱりあの噂は本当なのかな」
「噂って?」
「やだ、知らないの? ほら副社長と如月さんが……」
「皆、静かに。早く持ち場に戻りなさい」
メンバーの雑談を止めるように、パンパンッと手を叩く音が響く。
声の主はこのプロジェクトで如月さんの右腕となっている廣田さんだった。
雛乃と同じ企画課に所属している、三十歳の女性社員だ。
副社長と如月さんの噂、それは真理子ちゃんから聞いたものと同じだろうか。
皆が当たり前のように噂を知っている事実に、胸が軋む。
私には関係ない。
それよりも今はこの企画を仕上げるほうが大事なのだから。
「道木さん」
総務課に戻るため立ち上がると、廣田さんに声をかけられた。