俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「だ、ダメです」

「詠菜、敬語」

不服さを滲ませた副社長が少し身体を離して、私の目を覗き込む。

意図せずに向き合ってしまった彼の目には妖しい光が宿る。


「今は夫婦の時間だろ。お仕置きが必要?」

「……まだ慣れなくて」

「早く俺の妻だって自覚して」

口にした瞬間、頬に彼の唇がそっと触れる。


「左手、見せて」

言うが早いか、采斗さんは私の薬指に指輪がおさまっているのを確認する。


本当はずいぶん迷った。

だけど、今日会社で指輪をはめてくれていた彼の姿を思い出し、帰り道にネックレスから外してはめ直した。


「約束、ちゃんと守ってくれてありがとう」

相好を崩した彼がそっと指輪にキスを落とす。


そんな真似をしないで。

これ以上好きにさせないで。


きっとそんな私の願いは一生この人に届かない。
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