俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
「日野原飲料の如月と申します。不躾な真似をいたしまして申し訳ございません。道木の上司です」
そう言って、薄いベージュのネイルが塗られた指で名刺をバッグから取り出す。
「お世話になっております。藤堂商事の越智です」
元恋人も慌てたようにスーツの胸ポケットから名刺を取り出す。
「お世話になっております。あなたが越智さんですか。御社の柴元様からは今回の件でお話を伺っておりました」
「私も柴元から聞いております。お会いできて光栄です」
「こちらこそ」
にっこりと如月さんは上品に口角を上げる。
どうやらお互いに今回の案件の関係者同士だという認識はあったようだ。
「それで、なにやら深刻なご様子でしたが道木がなにか失礼をいたしましたか?」
「いえ、道木さんとは学生時代の友人なんです。久しぶりの再会に懐かしくて話していたんです」
「そうでしたか」
「ご挨拶いただいてすぐで申し訳ありませんが、ほかに約束がありますので失礼します」
ちらり、と孝也が私にもの言いたげな視線を向けながら言う。私は咄嗟にうつむく。
「お忙しい時にお引き留めしてしまって申し訳ございません」
「じゃあ道木さん、また」
「……失礼します」
私の返答に一瞬不満げな表情を浮かべたが、如月さんがいるせいか孝也はなにも言わなかった。
そのまま改札口を通っていく後ろ姿を見送る。
そう言って、薄いベージュのネイルが塗られた指で名刺をバッグから取り出す。
「お世話になっております。藤堂商事の越智です」
元恋人も慌てたようにスーツの胸ポケットから名刺を取り出す。
「お世話になっております。あなたが越智さんですか。御社の柴元様からは今回の件でお話を伺っておりました」
「私も柴元から聞いております。お会いできて光栄です」
「こちらこそ」
にっこりと如月さんは上品に口角を上げる。
どうやらお互いに今回の案件の関係者同士だという認識はあったようだ。
「それで、なにやら深刻なご様子でしたが道木がなにか失礼をいたしましたか?」
「いえ、道木さんとは学生時代の友人なんです。久しぶりの再会に懐かしくて話していたんです」
「そうでしたか」
「ご挨拶いただいてすぐで申し訳ありませんが、ほかに約束がありますので失礼します」
ちらり、と孝也が私にもの言いたげな視線を向けながら言う。私は咄嗟にうつむく。
「お忙しい時にお引き留めしてしまって申し訳ございません」
「じゃあ道木さん、また」
「……失礼します」
私の返答に一瞬不満げな表情を浮かべたが、如月さんがいるせいか孝也はなにも言わなかった。
そのまま改札口を通っていく後ろ姿を見送る。