俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～
「彼となにかあったの？」

「いえ、特には……」

まさか副社長との仲を疑われているだなんて言えない。


「それならいいけど……なにか困っているならいつでも話してちょうだい」

綺麗に整えられた眉をひそめるチーフ。

その口調から本気で心配してくれているのだとわかる。

部下への気遣いも完璧で、本当にどこまでも敵わない。


「ありがとうございます。あの、如月さんこそどうしてここに？」

「今は勤務時間中だし、帰社するのは当たり前でしょう」

「でも藤堂副社長とご一緒だったんじゃ？」

「藤堂副社長ならきっと今頃うちの副社長と話し込んでいるわよ」

「同席なさらないんですか？」

「なんで私が？　同窓会はこんな場所でしないわよ」

フフッと悪戯っぽく口角を上げる。


「ここにずっといるのもなんだし、戻りましょう」

促されて、慌てて改札を通り抜ける。


乗り込んだ車内は午後を少し過ぎたばかりの時間のせいか空いていた。

空いている席に如月さんと並んで腰かける。


「越智さんとは本当に友人なの？」

「はい……」

突然切り出された話題に驚きつつ、返答する。
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