俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
その後、会社に戻っても心の疼きはずっと収まらなかった。

今日はもうプロジェクトチームの仕事はなく、なんとか平常心を保って総務課の仕事をこなす。


先方の返事をいただくまでミーティングはないと言われ、安堵していた。

今は如月さんと顔を合わせるのがなによりつらい。


今日は水曜日。

きっと先方から返事をいただいたら事態は大きく変わる。


私の立場さえも。

だからこそ、できるだけ早く心の整理と覚悟をしたい、そう思うのに。


会社で如月さんに会わなくても、帰宅すれば采斗さんがいる。

この週末の彼の予定はまだ聞いていない。


会いたいけれど、会いたくない。

一緒にいたいけど、いられない。


だって心が揺らいでしまう。

どんなにこの人を好きか思い知らされてしまって益々離れがたくなる。

その腕も声も心も、私のものにはなにひとつならないのに。


帰りの車内は昼間とは違い、混雑していた。

ぼんやりと外の景色を眺める。


ほんの少し運が私に味方をしてくれたのか、スマートフォンに采斗さんからのメッセージが届いた。

どうやら今日は急な会食が入ったそうだ。

そして明日からも仕事が立て込んでいて遅くなるという。
< 159 / 221 >

この作品をシェア

pagetop