俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
2.逃げるが勝ち?
梅雨真っただ中の月曜日の朝、いつものように出勤する。
しとしと陰鬱な雨が降っていて、まるで私の心中を代弁しているかのようだ。
空模様から、昨日の出来事を思い出してしまう。
今日ほど会社に行くのが憂鬱だった日はない。
……先週の土曜日は楽しい出会いがあったのに。
恨みがましく傘の下から鼠色の空を見上げる。
***
朝から仕事が立て込んでいて今日は残業になってしまった。
それでも明日は休みだし、まあいいか、とおおらかな気持ちになる。
午後八時半を過ぎた金曜日の電車は混雑している。
人の間を縫うように扉付近のつり革につかまる。
肩に下げたバッグからスマートフォンを取り出すと、姉からメッセージが一件、届いていた。
自宅がある最寄り駅に着き、足早に改札を抜けると生ぬるい風が髪をさらう。
夜になっても相変わらず気温は下がらず、湿度も高い。
駅前にある大型スーパーの照明が、夜道を明るく照らしている。
「もしもし、お姉ちゃん?」
手に握ったままのスマートフォンで、姉に電話をかけた。
『お疲れ様、詠菜。今、帰り道?』
「うん、メッセージ読んだよ。明日の優月ちゃんのピアノ教室、私が付き添うわ」
『本当? 助かるわ。いつも手伝ってもらってごめんね。総悟が明日から出張なのよ』
「気にしないで。土曜は予定がなかったから」
しとしと陰鬱な雨が降っていて、まるで私の心中を代弁しているかのようだ。
空模様から、昨日の出来事を思い出してしまう。
今日ほど会社に行くのが憂鬱だった日はない。
……先週の土曜日は楽しい出会いがあったのに。
恨みがましく傘の下から鼠色の空を見上げる。
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朝から仕事が立て込んでいて今日は残業になってしまった。
それでも明日は休みだし、まあいいか、とおおらかな気持ちになる。
午後八時半を過ぎた金曜日の電車は混雑している。
人の間を縫うように扉付近のつり革につかまる。
肩に下げたバッグからスマートフォンを取り出すと、姉からメッセージが一件、届いていた。
自宅がある最寄り駅に着き、足早に改札を抜けると生ぬるい風が髪をさらう。
夜になっても相変わらず気温は下がらず、湿度も高い。
駅前にある大型スーパーの照明が、夜道を明るく照らしている。
「もしもし、お姉ちゃん?」
手に握ったままのスマートフォンで、姉に電話をかけた。
『お疲れ様、詠菜。今、帰り道?』
「うん、メッセージ読んだよ。明日の優月ちゃんのピアノ教室、私が付き添うわ」
『本当? 助かるわ。いつも手伝ってもらってごめんね。総悟が明日から出張なのよ』
「気にしないで。土曜は予定がなかったから」