俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
【詠菜が頑張った日なのに、一緒に過ごせなくてごめん】

どこまでも思いやりに溢れた文章が胸をつく。


【頑張ったのは私だけじゃないし、私はたいした戦力になってないから】

我ながら可愛げのない返信だと思う。


【お前は十分努力していたよ】

即座に返された一文。


それが私の心にどれだけ染みているのかをこの人はわかっているのだろうか?


経験不足で未熟な私は一歩間違えれば足手まといになるような存在だ。

実際忙しく立ち回っているのはチーフや副社長だ。

それなのにこの人は私の些細な頑張りを認めてくれる。


【今日は先にゆっくり休んで】

自分のほうが何倍も忙しいのに、大変なのに。

なんでいつも私ばかり優先させるの。


ぐっと頬の内側を噛みしめる。

そうでもしないとこの場で涙が零れ落ちそうだ。


最近の私は涙もろく、すぐに心が揺れて涙が滲んでしまう。

彼と出会う前の私はひとりできちんと立っていられたのに、甘える腕を知ってしまった今はこんなにも弱い。


こんな調子で一年後、彼の手を離せるのだろうか。
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