俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
気持ちを必死に鼓舞し、午後の業務をやり遂げた。

体調不良なので早めに退社したい、と言い出すまでもなく周囲から具合が悪そうなので早めに帰宅するよう促された。


帰り道、最寄り駅にいつものように降り立つ。

周囲を見回しながら自宅より少し遠めの、普段は利用しないドラッグストアに向かう。 


電車の中で事前に買う商品について検索していたので、手早く商品を探し出しレジに向かう。

それでも会計を済ませるまでは店員の視線すら気になってしまって、気が気ではなかった。


もう秋も深まる頃だというのに店を出た時には背中に嫌な汗をたくさんかいていた。

生まれて初めて購入した妊娠検査薬をそっとバッグの中に入れる。

そして周囲をもう一度見回して、自宅へと足を進めた。


采斗さんが帰宅する前に早く確認しなくては。

どっちつかずの状態で悩んでいても仕方ないのに。


そう思うのに手が震えてなかなか決心できない。

一旦落ち着くために入浴したけれど効果はなかった。

何度も深呼吸を繰り返し、検査薬を握りしめて自室をうろうろして、やっと検査に臨む。


結果は、陽性だった。

目にした瞬間、感じたのは単純に喜びだった。


私のお腹に、采斗さんとの赤ちゃんを授かったの?
 

まだなんの変化も感じられないお腹にそっと両手を置く。

それだけで胸の奥がいっぱいになり涙が込み上げてきた。
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