俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～
采斗さんとの、赤ちゃん。

嬉しくて、とても愛しい。


けれど夫の顔が浮かんだ瞬間、不安が襲ってきた。


采斗さんに、伝えていいの？


目にした離婚届が頭をよぎる。


別れようとしている妻との間に赤ちゃんを授かったとあの人が知ったら、どう思う？

もし悲しそうな表情や困った様子を見せられたら？

喜んでもらえなかったら？


どうしてもネガティブな考えしか浮かんでこない。

それでも私はこの赤ちゃんを無事に産みたい。


たとえ彼に反対されても、離婚が避けられなくても、この命を守り抜きたい。

食堂ではあんなにどうしようかと迷ってばかりだったのに、いざ結果を見るともうそれ以外の選択肢は考えられなかった。


それぐらいに愛する人の赤ちゃんを授かった幸せは大きかった。

ただ、采斗さんにはいつ、どう告げればいいのかわからない。

伝えていいのかすら判断できない。


それにまずはきちんと病院を受診しなくてはいけない。

突然動き出した事態に、冷静な判断がなかなかできない。


それに身体のだるさも依然続いていて迅速に動けそうにもない。

スマートフォンで産婦人科の検索をして予約の取れそうな病院を探す。


それさえも途中で疲れてしまい、いつの間にか私は微睡んでしまっていた。
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