俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
それから店に向かう道程はお互いに無言だった。
少し前を歩く上司の横顔はいつもと変わりなく見えた。
対する私は動揺が隠しきれず、指先が冷え切っていた。
遅い時間帯のせいか、三つある四人掛けのテーブル席は空席で五人ほどが座れるカウンター席にひとりだけ先客がいた。
私たちはテーブル席に向かいあって座る。
如月さんはスマートフォンを少し操作して、自身のバッグに入れた。
店員が水を給仕してくれる。
「ホットコーヒーひとつと……あなたは?」
メニューを差し出される。
「ミックスジュースを、ください」
注文を聞き終えた店員が離れた途端、如月さんが口を開く。
「ミックスジュースがあったのね、私もそれにしたらよかったかしら」
「え?」
「ミックスジュースってたまに無性に飲みたくならない?」
屈託なく話す姿からは悲壮感は微塵も感じられない。
このお茶会の意図がわからず困惑する。
「回りくどいのは嫌いだからはっきり言うわね。道木さん、さっき副社長室の前にいたでしょ?」
ひゅっと息を呑む。
テーブルの上に置いた指がカタカタ震えだす。
「誤解しないで、咎めたいわけじゃないの。私たちが話していた内容を聞いたんじゃないかと思ってたの」
「は、い……」
ここまで言われて嘘をつくわけにはいかず、正直に肯定する。
少し前を歩く上司の横顔はいつもと変わりなく見えた。
対する私は動揺が隠しきれず、指先が冷え切っていた。
遅い時間帯のせいか、三つある四人掛けのテーブル席は空席で五人ほどが座れるカウンター席にひとりだけ先客がいた。
私たちはテーブル席に向かいあって座る。
如月さんはスマートフォンを少し操作して、自身のバッグに入れた。
店員が水を給仕してくれる。
「ホットコーヒーひとつと……あなたは?」
メニューを差し出される。
「ミックスジュースを、ください」
注文を聞き終えた店員が離れた途端、如月さんが口を開く。
「ミックスジュースがあったのね、私もそれにしたらよかったかしら」
「え?」
「ミックスジュースってたまに無性に飲みたくならない?」
屈託なく話す姿からは悲壮感は微塵も感じられない。
このお茶会の意図がわからず困惑する。
「回りくどいのは嫌いだからはっきり言うわね。道木さん、さっき副社長室の前にいたでしょ?」
ひゅっと息を呑む。
テーブルの上に置いた指がカタカタ震えだす。
「誤解しないで、咎めたいわけじゃないの。私たちが話していた内容を聞いたんじゃないかと思ってたの」
「は、い……」
ここまで言われて嘘をつくわけにはいかず、正直に肯定する。