俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～
「まさか私が副社長を好きだと思っていたなんて……だから逃げたのね？　私が再婚を迫ってるとでも思った？」

「すみません……」

「確かに副社長に怒っていたけれど、それはあくまでも期間限定なんて中途半端な態度であなたに接しているからよ。本命には無器用すぎて呆れていたの」

「でも副社長、采斗さんは如月さんを好きなのでは……」


それはずっと心に重くのしかかっていたもの、認めるのが怖い事実。

ふたりが寄り添う姿はとても自然で、なにより采斗さんが如月さんを見つめる目はとても優しい。


しかも自社への就職を促したくらいだ。

如月さんが違う誰かを想っていても、采斗さんは恋心をずっと抱いていたのではないだろうか。


「それこそありえないわ。私の知る限り副社長はどれだけ女性に言い寄られても一度も本気で恋をしていないわ。いつもどこか冷めていて恋愛からは縁遠い男性だったの」

出逢った頃の彼の姿が思い出される。

淡々とした姿はとても近寄りがたかった。


「でも副社長はあなたに出会ったの。あなたが大切で誰にも奪われたくないんだって口癖のようにおっしゃってた。何度プロポーズしても本気にされず断られるって悩まれてたわ。あれだけの縁談を断り続けてこられた方が、よ」

「まさか……」

「事実よ。特にあなたの元彼にはずいぶん嫉妬して焦っていたのよ。だから半ば強引に結婚に持ち込んだって聞いた時には開いた口が塞がらなかったわ。いつもあれだけ冷静な副社長がってね」
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