俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす~お前は誰にも譲らない~
その時、姪のすぐそばでなにか迷うような表情をしている老婦人に気がついた。
何冊もの絵本を棚から出しては戻す。
なにかを探しているのか、何度も同じ動作を繰り返している。
白いものが交じる髪はきちんと結いあげてあり、品の良い深い緑色のワンピースがよく似合っている。
「詠ちゃん、一緒に読もうね!」
大きな目を輝かせ、絵本を抱きしめる小さな頭をそっと撫でる。
「うん、楽しみだね」
返事をすると、私の背後に視線を向けた姪が大きな声を上げた。
「そのお話、すごく楽しいよ! 私も持ってる」
慌てて振り返ると、そこには先ほどの老婦人が一冊の絵本を手にして立っていた。
老婦人は驚いたように数回瞬きを繰り返し、柔らかく相好を崩す。
七十歳くらいだろうか、穏やかな二重の目に小さな唇が印象的な綺麗な女性だった。
「まあ、そうなの? どんなお話かしら」
「えっとね、クマさんが皆とお家を作るんだよ」
小さな手を大きく振り回し懸命に説明する姿を、老婦人は優しい目で見ている。
姪の説明が終わった後、私は小声で話しかけた。
「突然話しかけてしまってすみません」
「いいえ、可愛らしいわ。お嬢さんはお幾つ?」
「五歳、ヒマワリ組だよ」
私が口を開く前に、おしゃまな優月ちゃんが答える。
何冊もの絵本を棚から出しては戻す。
なにかを探しているのか、何度も同じ動作を繰り返している。
白いものが交じる髪はきちんと結いあげてあり、品の良い深い緑色のワンピースがよく似合っている。
「詠ちゃん、一緒に読もうね!」
大きな目を輝かせ、絵本を抱きしめる小さな頭をそっと撫でる。
「うん、楽しみだね」
返事をすると、私の背後に視線を向けた姪が大きな声を上げた。
「そのお話、すごく楽しいよ! 私も持ってる」
慌てて振り返ると、そこには先ほどの老婦人が一冊の絵本を手にして立っていた。
老婦人は驚いたように数回瞬きを繰り返し、柔らかく相好を崩す。
七十歳くらいだろうか、穏やかな二重の目に小さな唇が印象的な綺麗な女性だった。
「まあ、そうなの? どんなお話かしら」
「えっとね、クマさんが皆とお家を作るんだよ」
小さな手を大きく振り回し懸命に説明する姿を、老婦人は優しい目で見ている。
姪の説明が終わった後、私は小声で話しかけた。
「突然話しかけてしまってすみません」
「いいえ、可愛らしいわ。お嬢さんはお幾つ?」
「五歳、ヒマワリ組だよ」
私が口を開く前に、おしゃまな優月ちゃんが答える。