俺様御曹司は期間限定妻を甘やかす～お前は誰にも譲らない～
詠菜の気持ちが俺の想いの深さに追いついていないのも、若干強引だったのも理解している。

それでも逃がすつもりは毛頭なかった。


これからの結婚生活で少しずつでいいから俺を好きになってほしいと願い、結婚指輪を贈った。

お互いの指輪には相手の誕生石が入っている。

離れていてもお互いの存在を感じられるようにしたかった。


そんな俺の余裕のなさと独占欲にきっと妻は気づいていない。

彼女が俺の名前を呼んでくれるだけで、どれだけ幸せを感じているのかもきっと知らない。


詠菜が俺に想いを向けてくれるまでは手を出さないよう自分を必死で戒めた。

だから詠菜が俺に告白してくれた時は幸せと愛しさで胸が震えた。

一瞬、都合の良い夢を見ているのかと思ったくらいだ。


誰より可愛くて正直で真っ直ぐな妻。

愛しすぎて切ないという気持ちを初めて俺に教えてくれた唯一の人。


それなのに、その妻の様子がおかしい。

思えば最近はどこか表情も態度もよそよそしかった。

なにかを言いたそうに俺を見て、どこか悲し気で思いつめた表情を見せていた。


初めての大役に緊張しているのだと思っていた。

責任感が強く、仕事に一生懸命な性格だからだと考えていた。

けれど、プレゼンが終わり、結果が出たにも関わらず彼女の態度はぎこちないままだった。


気にならなかったわけではない。

今、抱えている仕事に折り合いをつけてきちんと話す時間をとろうと考えていたその矢先だったのに。
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